2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧
海洋研究開発機構の研究者が説く現代版「知的生産の技術」。理系研究者向けにクラウド環境の使いこなし術を紹介する。一応「理系」が想定読者だが、文系でも役立つ内容を多く盛り込んでいる。もっとも「知的生産の技術」(梅棹忠夫著、岩波新書)は、評者の…
ハーバード大学の学長を20年間務めた世界的法学者が、「幸福」と「国民を幸福にする政治」について論じた書。幸福に関する俗説の間違いを、最新の研究成果をもとに正すとともに、政治やマスメディアの問題を明確に描き出している。国王夫妻が昨年来日したブ…
小泉構造改革と同一視され、日本では評判が芳しくない「新自由主義」の本質について論じた書。新自由主義と小泉構造改革にまつわる数々の誤解を解くとともに、日本経済復活と震災復興への処方箋を提示している。非論理的な日本の経済政策、トンネルから抜け…
高度成長期から現在至るまでの日本社会の変容を、村上春樹の小説、人気テレビ番組などを絡めながら解き明かした書。筆者は34歳と新進気鋭の評論家。切り口が鋭く、現在のネット社会を的確にとらえている。ただし文章は小難しい。評者は、「難しいことを難解…
最近、日本経済新聞「私の履歴書」に登場した寺澤芳男が、スピーチのノウハウを開陳した書。画期的な内容が含まれているわけではないが、実践的なのは確か。特に英語でのスピーチに関するノウハウは貴重。海外でスピーチする機会がある方は一読して損はない…
福島第一原子力発電所の事故を第三者の立場から調査・分析し、知見を後世に伝えるために昨年4月に発足したFUKUSHIMAプロジェクト。その成果をまとめた書である。このプロジェクト、仕組みがなかなかユニーク。特定組織の意向に影響されたり、経済原理に左右…
東日本大震災が起こって3週間ほどたったころ、小学6年生の「ゆうだい君(仮名)」が毎日小学生新聞に投書を寄せた。「突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です」ではじまる投書である。内容は毎日小学生新聞の1面に掲載されたジャーナリスト北村龍行(元毎…
二つの意味で、凄まじい迫力の本である。一つは孫正義の人生の迫力。本書が紹介する在日、差別、幼少期の貧困などは、この手の書に多い予定調和的な美談を簡単に打ち砕く。もう一つは、ノンフィクション作家としての佐野眞一の驚くべき力量。筆者はあとがき…
コロンブスの航海がキッカケになって、新大陸原生の植物が欧州に渡った。その植物が、欧州の政治や社会、産業、文化を与えたインパクトを紹介した書。4回にわたるコロンブスの航海が、新しい文明の幕開けに貢献したというのが筆者の見立てである。取り上げる…