2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

日本経済・今度こそオオカミはやってくる、冨山和彦、竹中平蔵、PHP研究所、p.224、¥1470

竹中平蔵と冨山和彦が、日本の経済政策と産業政策について語り合った書。理論派と実践派を組み合わせた企画は編集者のファインプレーだろう。竹中はいわずと知れた小泉改革の司令塔。冨山は経営コンサルタントだが、産業再生機構設立にかかわりCOOを務めたあ…

ウェブ×ソーシャル×アメリカ〜<全球時代>の構想力〜、池田純一、講談社現代新書、p.320、\840

ウェブやパソコンの誕生と発展を米国文化の視点から分析した書。AppleやGoogle、Facebookが米国で誕生した思想的・社会的背景を、幅広い視野から解き明かす。新書らしい知的興奮を与えてくれる良書である。類書にない構想力の大きさが本書の特徴の一つ。情報…

「お手本の国」のウソ、田口理穂ほか、新潮新書、p.238、\777

隣の芝生は本当に青いのか。「巷間伝わる他国の美点は正しいのか」「本当にお手本になるのか」を、現地在住のジャーナリストが論じた書。「ドイツは戦争責任問題を整理した」「フランスは少子化問題を解決した」「子どもの学習法なら『フィンランドメソッド…

横浜事件・再審裁判とは何だったのか〜権力犯罪・虚構の解明に挑んだ24年〜、大川隆司、橋本進、佐藤博史、高文研、p.239、\1575

冤罪を晴らすために24年間わたって再審裁判を闘った弁護士たちの奮戦記である。こう書くと、血湧き肉踊るようなノンフィクションを期待するかもしれないが、本書はきわめて地味。担当弁護士やジャーナリストが、冤罪の経緯と構造、支援活動を淡々と論じてい…

ナチを欺いた死体〜英国の奇策・ミンスミート作戦の真実〜、ベン・マッキンタイアー著、小林朋則・訳、中央公論新社、p.469、¥2625

とてもノンフィクションとは思えない、奇妙きてれつな第2次世界大戦時の話。実に面白い。連合軍がシチリア島への進攻を企てたときに、上陸ポイントについてドイツ軍に偽情報をつかませて作戦を成功させた「ミンスミート作戦」の舞台裏を詳細に描いている。「…

Space invaders

ザ・ラストバンカー〜西川善文回顧録〜、西川善文、講談社、p.322、\1680

住友銀行(現・三井住友銀行)元頭取で、日本郵政の初代社長を務めた筆者が、激動のバンカー人生を振り返った書。取り上げるのは、住友銀行の天皇と呼ばれた磯田一郎との確執、安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、バブル崩壊にともなう不良債権問題、郵…