2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

工学部ヒラノ教授の事件ファイル、今野浩、新潮社、p.206、\1575

今野浩 東工大名誉教授が有名大学の内実を暴露した書。タイトルは筒井康隆の「文学部唯野教授」を意識しているが小説ではない。筆者によると、一部に仮名を使っているものの97%は真実ということなので、ノンフィクションという位置づけになる。筆者は前著「…

貧乏人の経済学〜もういちど貧困問題を根っこから考える〜、アビジット・V・バナジー、エスター・デュフロ、山形浩生・訳、みすず書房、p.408、\3150

貧困に対する見方が劇的に変わる書である。教えられることが実に多い。頭の中で考えた理論が実態とかけ離れており、貧困国と貧乏人に対するステレオタイプのイメージが間違っていることを、現場に根ざした精緻で定量的な研究に基づいて示している。学術的な…

図解・新幹線運行のメカニズム、川辺謙一、ブルーバックス、p.240、\924

1964年の開業以来、安全かつ大量に安定的に乗客を運んでいる新幹線。その運行の仕組みを詳細に解説した書である。運転の方法、社内検札を行う理由、列車ダイヤと時刻表、車両についてのティップス、運行管理や保守点検の仕組み、地震への備え、ミニ新幹線つ…

PlanB〜不確実な世界で生きのびるための11の法則〜、デイビッド・コード・マレイ、花塚恵・訳、東洋経済新報社、p.283、\2200

新しいマネジメントの在り方「適応マネジメント」を事例とともに紹介した書。変化の激しいビジネス環境のなかで、ビジネス・プランはすぐに陳腐化する。本書の帯にあるように、計画厳守は破滅への一歩である。重要なのが、状況に対して的確に適応した修正を…

コンピュータが仕事を奪う、新井紀子、日本経済新聞出版社、p.221、\1785

コンピュータに向く仕事、人間にしかできない仕事について論じた書。コンピュータの性能と機能は向上・拡大を続け、チェスの王者に勝つまでになった。人間の仕事のある部分は確実に奪われる。しかしコンピュータには得手不得手がある。コンピュータにできな…

ヒット商品を生む観察工学〜これからのSE,開発・企画者へ〜、山岡俊樹編著、共立出版、p.232、\3045

この書評で7月に取り上げた「ビジネスマンのための『行動観察』入門」が面白かったので、参考文献として挙げられていた本書を購入。タイトルから分かるように観察工学の教科書だが、教科書臭さはあまりなく実践的で好感が持てる。観察工学とは「人間に関する…