2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

予測できた危機をなぜ防げなかったのか?〜組織・リーダーが克服すべき3つの障壁〜、マックス・H・ベイザーマン、マイケル・D・ワトキンス、奥村哲史・訳、東洋経済新報社、p.336、¥2940

「危機を予見していたのに、どうして大惨事を防げなかったのか」「予測できた危機を防止するための方策」についてハーバード・ビジネススクール教授が論じた書。失敗の傾向と対策について説いた優れたリーダー論である。米国の書籍らしく具体的なケーススタ…

なぜデザインが必要なのか〜世界を変えるイノベーションの最前線〜、エレン・ラプトン、カーラ・マカーティ、マチルダ・マケイド、シンシア・スミス、北村陽子・訳、英治出版、p.208、\2520

世界が抱える問題をデザインを通して解決する事例の数々を紹介した書。2010年にニューヨークで開催された国際デザイン展「Why Design Now?」の出品物138点を収録しており、デザインの重要さや楽しさを堪能できる。実用に供されているデザインもあれば、実験…

昭和天皇伝、伊藤之雄、文藝春秋、p.588、¥2300

昭和天皇の人生を史料に基づき丹念に追った書。評者のような世代は、新聞やテレビ、雑誌などで昭和天皇の動向をリアルタイムで知るとともに、戦前と戦中については多くの書物から知識を得ている。本書を読むと、そんな知識がいかに浅薄なものだったかを思い…

インサイド・アップル、アダム・ラシンスキー、依田卓巳・訳、早川書房、p.280、¥1680

知られざる米Appleの組織と幹部の実際を明らかにしたノンフィクション。筆者は米Fortune誌記者で、この書評でも取り上げたKindle版「Inside Apple」も執筆した。本書は、「Inside Apple」の中身を深耕するとともに、ジョブス死後のAppleについても言及する。…

日本の歴史をよみなおす、網野善彦、ちくまプリマーブックス、p.237、\1260

従来の農耕民中心の日本史観に疑問を呈し、漂泊民の視点から日本史を描く網野史観が色濃く出た啓蒙書。南北朝(14世紀)の前と後で、日本は大きく変わったという史観は興味深い。15世紀以降の社会の在り方は、現在の我々にも理解可能だが、13世紀以前は我々…

うつ病の常識はほんとうか、冨高辰一郎、日本評論社、p.195、\1680

タイトルからは「うつ病」にまつわる誤解を解く書のように思えるが、内容はちょっと違う。筆者が力を入れているのは、うつ病よりも自殺の話。日本人の自殺は正規化すればけっして増えていないという主張に、全体の3分の1を割いている。タイトルに引かれて購…