2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧
雑誌の編集者を務める筆者が遭遇したトラブルの数々を紹介した書。恫喝や脅迫、恐喝、拉致といった体験を面白おかしく綴っている。多くの事例を紹介しているぶん、個々のエピソードに対する書き込みは不足気味。物足りなさを感じるが、内容が内容だけに仕方…
本書の帯には、「最も知る記者がついに書いた、超エリート集団のカネと人脈」とある。だったら「もっと前に東京電力の実態を書いてくれていたら」と突っ込みを入れたくなる。東日本大震災の前に上梓されていたら、筆者の評価と本書の価値はぐんと高まっただ…
証券アナリストとして電機業界を20年あまり見続け、現在はヘッジファンドの社長を務める筆者が描く電機産業の未来像。アナリストらしい視点で電機産業を俯瞰している。全体によくまとまっているが、議論の展開が少し雑駁なのが気になる。個人的な体験に基づ…
米IBMの創業100周年を記念して出版された書。社長兼会長兼CEOのSamuel Palmisanoが力のこもった序文を書いている。USA TodayやBusinessWeek、Wired出身の3人のジャーナリストを使い、IBMの歴史を技術、経営、社会貢献といった視点から描く。成功だけは失敗に…
30年近く出産現場に立ち会ってきた小児科医が紹介する「赤ちゃんの神秘」。どこかの書評が取り上げていたので購入したが、400ページを超える大著なのでツンドク状態が続いていた。何となく目障りなので読み始める。筆者は赤ちゃんだけではなく、人間という生…
東日本大震災の被災地を歩き、惨状を目の当たりにしたノンフィクション作家・佐野眞一の驚きと怒りがひしひしと伝わってくるルポルタージュ。特に怒りが凄まじい。本書はルポの基本である現場を歩くことの重要さを改めて教えてくれる。佐野はこう言う。「被…
町人文化が花開いた文化・文政年間(1804〜1829年)の物価を、円換算して紹介する書。江戸っ子や武士の暮らしぶりが垣間見えて楽しい。取り上げるのは、表題の卵のほか、大岡越前守の年収、不倫の慰謝料、家賃、医療費、化粧品など。ちなみに一両は12万8000…
米ウォール・ストリート・ジャーナルのグラフィック・エディタを務める筆者が伝授するグラフや図、表の作り方。記者時代にさんざん図表を作った評者だが、的確な指摘が多く、なかなか役立つ。経験から何気なく実行していた作図法や作表法が、理論だって裏付…
生物の進化をもたらした要因は、突然変異以外にも存在することを説いた書。副題にもあるようにウイルスが生物(動物・植物・昆虫・・・)の進化に重要な役割を果たしたというのが主張の一つだが、本書の幅はもっと広い。へ〜っと驚くような話が満載である。…
30年以上もチンパンジーを研究してきた、京都大学霊長類研究所所長の筆者が「人間とは何か」「心とは何か」を論じた書。チンパンジーを一人二人、彼・彼女と呼ぶ筆者の愛情が伝わる感動的な書き出しに始まり、興味深い話題が盛りだくさんである。チンパンジ…