2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧
日本人の意思決定の構造を、山本七平の「空気の研究」や丸山眞男の言説にもとづいて論じた書。日本の企業や政治の「決められない」「変革できない」症候群の根本原因を探っている。名著「失敗の本質」を現代に当てはめて解説している感がある。精神主義が跋…
本書を開いてすぐに目に飛び込んでくるのが、1927年に開かれた第5回ソヴェイ会議の写真である。アインシュタインやキュリー夫人を含め、錚々たる物理学者29人が居並ぶ。なんと29人のうち17人がノーベル賞を受賞する。本書は量子論100年を振り返る物理学者列…
幸福とは定量化できるものであり、測定されなければならないという信念のもと「幸せや不幸の値段」を探った経済書。結婚、離婚、子ども、友情、仕事、死別、失業、障害など人生における数々の出来事の経済価値を論じている。例えば結婚初年度の幸福は2500万…
米国の独立交渉やナポレオン戦争後のウィーン会議、日露戦争のポーツマス講和条約など、歴史の教科書で取り上げられている外交交渉の舞台裏を、臨場感タップリに活写した書。事実は小説より奇なりを地で行ったような興味深い内容の連続で、つい引き込まれて…
この書評でも取り上げた「漂白される社会」で今注目の若手社会学者・開沼博が、一つ前に上梓した評論集。雑誌や新聞などで発表した福島原発事故関連の原稿を集めたものなので、ダブり感や整合性の面で気になる所が散見されるが、筆者の地に足の着いた社会観…
鳩居堂といえば、路線価日本一の場所に店を構える和文具の老舗である。てっきり東京の店だと思い込んでいたが、創業の地は京都の本能寺門前。今年の京都マラソンの前日に京都・寺町をブラブラしていたときに、初めてこの事実を知り非常に驚いた。本書は、創…
霊柩車の歴史を扱ったマニアックな書だが、中身はきわめてまじめ。霊柩車の誕生や変遷に始まり、葬送などの日本風俗史にまで言及する。難点は内容が古いこと。初版は1984年だが、内容はもっと古びた感じだ。とくに写真が粗く汚いのは残念である。文庫化にあ…
情報技術の歴史を壮大なスケールで描いた書。訳者が後書きに書いているように叙情詩という表現がピッタリである。600ページに迫るページ数にも驚くが、生物学、言語学、遺伝子学、脳科学に言及し、学問の枠を超えて縦横無尽に持論を展開する筆者の筆力も大し…
このところ日本のメディアでさかんに取り上げられている、米Facebook COOのシェリー・サンドバーグの書。女性の社会進出の難しさ、ガラスの天井、仕事と家庭の両立問題を、自らの体験やIT業界の著名人のコメント、各種の調査を駆使して論じている。世界銀行…