2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

デジタルネイティブの時代〜なぜメールをせずに「つぶやく」のか〜、木村忠正、平凡社新書、p.256、\800

ブロードバンドの常時接続やモバイル・インターネットなどが当たり前の「デジタルネイティブ世代」の生態や、この世代の台頭に伴う社会的コミュニケーションの変容を文化人類学の手法を使って明らかにした書。メールやSNSの使い方、コミュニケーションの在り…

レッドアローとスターハウス〜もうひとつの戦後思想史〜、原武史、新潮社、p.396、\2100

この書評で2008年に取り上げた「滝山コミューン 1974〜戦後とは何か? 自由とは何か?〜」の著者が、対象を同じく西武沿線のひばりが丘団地に移して戦後の政治社会を追った書。滝山コミューンの主役は全共闘世代の教員と滝山団地に住む児童、その母親たちが…

ファスト&スロー(上)〜あなたの意思はどのように決まるか?〜、ダニエル・カーネマン、村井章子・訳、早川書房、p.370ページ、¥2205

「意思はどのように決まるのか」「直感はどれほど正しいか」など、人間の意思決定の仕組みを解き明かした書。我々の常識や経済学が前提としている合理的人間像を否定するを覆していくさまは、実に小気味いい。筆者は心理学者で、ノーベル経済学賞を受賞した…

日本型リーダーはなぜ失敗するのか、半藤一利、文春新書、p.262、\819

「日本のいちばん長い日」「昭和史」「幕末史」などで知られる半藤一利が、太平洋戦争時の陸海軍の軍人たちを俎上にあげ指導者論を展開した書。名著「失敗の本質」や「大本営参謀の情報戦記〜情報なき国家の悲劇」と共通する個所が少なくないが、歴史探偵を…

間抜けの構造、ビートたけし、新潮新書、p.187、\714

鶴保征城氏のFacebook投稿を読んで購入。ビートたけしが人生論を交えながら“間”を論じている。「間とは何かを考えることは日本人を考えることにつながる」と指摘し、どうすれば間をコントロールできるか、人生において間をどう生かすかについて持論を展開す…

日本農業への正しい絶望法、神門善久、新潮新書、p.237、\777

日本の農業に対する歯に衣(きぬ)着せぬ批判が持ち味の神門善久・明治学院大学教授の新著。神門教授はこの書評で何度も取り上げている、お気に入りの論客だ。今回もパワー全開で、農政・農家・農協・消費者・マスコミ・識者に次々と鉄槌を下ろす。農業ブー…

官僚制としての日本陸軍、北岡伸一、筑摩書房、p.372、\2730

陸軍崩壊の過程や近代日本における陸軍と政治との関係を解明した書。日本軍がどのようにコントロールされてきたか、あるいはされてこなったかを、史料を丹念に読み込んで明らかにする。筆者は執筆の目的を、「現実的で有効な平和のために、日本に何ができる…

高品質日本の起源〜発言する職場はこうして生まれた〜、小池和男、日本経済新聞出版社、p.395、\3780

日本企業の国際競争力の起源を探った学術書。歴史的な資料に基づき、日本企業の代名詞である高品質は、現場力、具体的には「発言する職場」に支えられていると筆者は主張する。この企業の競争力の根幹にかかわる事柄に現場が積極的に発言していく方式が、い…

リバース・イノベーション、ビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル、渡部典子・訳、ダイヤモンド社、p.408、\1890

発展途上国で生まれたイノベーションがグローバル市場に大きな影響を及ぼすことを豊富な事例をもとに明らかにした書。「リバース・イノベーション」とは、これまでの先進国から途上国へというイノベーションが逆流することを指す。先進国向け製品の機能を省…