間抜けの構造、ビートたけし、新潮新書、p.187、\714


 鶴保征城氏のFacebook投稿を読んで購入。ビートたけしが人生論を交えながら“間”を論じている。「間とは何かを考えることは日本人を考えることにつながる」と指摘し、どうすれば間をコントロールできるか、人生において間をどう生かすかについて持論を展開する。間の対象は、芸能、芸術、スポーツなど幅広く、含蓄の深い話と毒舌が絶妙に配合されており楽しく読める。肩の凝らない書なので、休暇などリラックスしたいときの読書に向く。
 漫才、落語、映画、絵画、野球、サッカー、相撲、踊り、茶道など、間を取り上げる範囲は広い。出色なのは漫才と映画、テレビについての考察である。間を制するもの笑いを制す、お辞儀がきれいな人に落語の下手な人はいない、映画は間の芸術、テロップがテレビから間を奪っているなど、指摘は鋭く、さすがと思わせる。