会社のアカスリで利益10倍!〜本当は儲かる環境経営〜,酒巻久,朝日新書,p.220,¥777

minami_chaka2009-11-15

 キヤノン電子の酒巻社長の経営哲学が,各所にはちりばめられた書。コストと考えられがちな環境対策が,実は省エネルギーだけではなく省スペースや無駄な時間削減につながり,会社の収益向上に寄与すると論じる。キヤノン電子の経常利益率を8年間で1.5%から14.1%へと高めた実績に裏打ちされているだけに,説得力がある。
 環境対策をどのようにコスト削減につなげるかを,オフィス,工場,設計・調達,物流,社員に分けて具体的に紹介する。オフィスにおける個人ゴミ箱の全廃や立ったままでの会議,パソコンの稼働時間制御などを例に挙げる。それぞれの対策の中身も興味深いが,特筆すべきなのはその徹底ぶりだろう。ある種の凄味さえある。
 全体に理想的に描かれているきらいはあるが,生産性向上と環境対策を両立させている具体的活動は参考になる。気軽に読める新書なので,時間がちょっと空いたときに読むことをお薦めする。