農協との「30年戦争」,岡本重明,文春新書,p.189,¥735

minami_chaka2010-02-15

 有限会社「新鮮組」を立ち上げ、売り上げ1億2000万円に育て上げた農業従事者による、農協と農政の無為無策ぶりを痛烈に批判した書。農協との対立を実体験した農家の主張だけに、いちいち重みと説得力がある。本書評でも農業に関して大学教授の神門善久氏、元官僚の山下一仁氏などの著書を取り上げたが、迫力では本書がピカイチ。日本の農業について考えたい方々にお勧めの書である。
 農協に対する批判は実に痛烈。「農家の名をかたり、国に補助金を要求するが、実態は自らの組織が潤うだけ」「農民から金を吸い上げて潤っている組織」と切り捨てる。農協職員にも「農業高校を出て実践経験がないままホワイトカラーとして陳腐な権力を振りかざす輩」「実践力が皆無で、知的水準も磨かれぬままの者たちが、農業指導者として君臨していては、農業を発展させるための指導ができなくて当たり前」と実に辛辣である。