Chief Culture Officer〜How to Create a Living, Breathing Corporation〜Grant McCracken、Basic Books。p.262、$26.95

minami_chaka2010-03-01


 変化が激しい消費者のニーズを的確にとらえ企業業績の向上につなげるには、CCO(Chief Culture Officer)の設置が不可欠と主張する書。ビジネススクールでないがしろにされてきた文化(Culture)を見直すことがブルーオーシャンの発見につながると説く。米国のビジネス書らしく豊富な事例を取り上げCCOの重要さを裏付ける。リーバイスP&Gユニリーバ、ディズニー、コカコーラ、スターバックス、ナイキといった企業のほか、スティーブ・ジョブスやマーサ・スチュアートなど個人も事例として取り上げる。
 CCOは、文化の変化(微分値)を的確にとらえるだけではなく、過去から蓄積された文化(積分値)を見通す目が求められるというのが本書の主張。ただしモトローラやコカコーラなど歴史のある企業ほど、既存の文化の重力圏から抜け出すのは容易ではないとも語る。ビジネスコンサルタントらしいそつない議論で、言っていることは説得力があり間違っていない。ただし、CCOとしてスティーブ・ジョブスを出されると後ずさりしそうだ。主張も当たり前のことを書き綴っているようで、驚きは少ない。