鳩山から鳩山へ〜歴史に学び、未来を診る〜、松山幸雄、朝日新聞出版、p.240、¥1890

minami_chaka2010-04-08

 特派員歴が長い元朝日新聞論説主幹による政治家論と外交論。鳩山一郎から鳩山由紀夫ケネディからオバマまでの日米政治家に対する人物評や、豊富な海外人脈に裏付けられた国際政治的観点からの切り口は読み応えがある。朝日新聞臭さと鳩山由紀夫に甘いところは好き嫌いが分かれそうだが、政治家、特に欧米の政治家が発した含蓄のある話が多く紹介されており勉強になる。お薦めの1冊である。
 辛口な人物評が多いなか、鳩山由紀夫への甘さはとても目立つ。違和感を感じるほどの持ち上げぶりだが、政権交代が執筆のタイミングとぶつかったことが大きな要因だろう。それまでの自民党政権、歴代首相に対する深い失望の反動が高い評価に表れているといえそうだ。沖縄の基地問題で右往左往している現時点で執筆したとしたら、また違った内容になっていたに違いない。
 シュミット元西独首相やキッシンジャー元米国務長官など、筆者と親交のある政治家たちの日本に対するコメントは実に辛辣で痛烈。思い当たる節が多く、耳の痛い指摘だらけである。