死なないための智恵、上野正彦、イーストプレス、p.214、\1470

minami_chaka2010-05-25

 ベストセラーになった『死体は語る』の著者の書き下ろし。監察医として数々の殺人事件に立ち会った経験や、実際におこった事件を例にとっているので説得力のある書に仕上がっている(筆者は2万体の検屍をしたらしい)。事件に遭遇したときにどのように行動すればよいのか、事件を未然に防ぐための方策、人命を救う方法、被害を軽減させるための知恵などを伝授する。ただし、200ページほどの分量のなかに多くを盛り込もうとしたため、細切れで散漫な感があるのが惜しい。
 本書は大きく五つの章に分かれる。それぞれ、街の危険、学校の危険、家庭の危険、災害(自信/火事/水害)、毒物/薬物への対処法を論じる。刃物を突きつけられたときの対処法、刃物で切られた人の応急措置や救助法、火傷や有毒ガスへの対処など、遭遇するかは別にして、一般人にも想像のつきやすい事例で読者を引き付けている。