地図だけが知っている日本100年の変貌、竹内正浩 、小学館101新書、p.224、\756
評者は学生時代に周遊券で日本全国を歩き回ったこともあって、鉄道好き、時刻表好き、地図好きである。タイトルに引かれて、つい本書に手を出した。過去100年以上にわたって更新され続けてきた国土地理院発行の新旧地図を見比べて、時代の変遷を追うというのが本書の狙いである。日本全国を扱っているので、身近な土地の話が必ず出てくる。その箇所は楽しく読める。
本書の狙いそのものは間違っていないし、内容に偽りもない。しかし何かが足りない。本書に期待したのは古地図と現在の地図を比べることで発見したあっと驚く日本の変貌だが、残念ながら想定内の話が多い。例えば干拓や埋め立ての話。八郎潟や有明海などに代表される干拓事業によって地図は大きく変わったのは事実。でも、そこに新しい発見はない。