グーグル時代の情報整理術、ダグラス・C.・メリル、ジェイムズ・A.・マーティン著、千葉敏生・訳、ハヤカワ新書juice、p.366、¥1365


 米Googleの元CIOが自ら実践している情報整理術を紹介した書。元Googleらしく、Googleのサービスを中心にITを駆使した整理術になっている。画期的な整理法を示しているわけではないが、参考程度といった軽い感じで読むと意外なヒントが得られるかもしれない。
 冒頭の1章では、認知科学に基づいた「脳の使い方」を説く。ちなみに筆者は失読症で苦労しながらも認知科学で博士号をとっている。「脳の負担を少なくなるように生活を組み立てる」「なるべく早く、頭の中から情報を追い出す」となど、11のアイデアを紹介する。後に続く2章、3章への導入的な位置づけだが、お急ぎの場合は1章を読み飛ばしても構わない。
 筆者は、「完璧な整理術など存在しない」と主張する。情報は整理するのではなく、検索することが重要だと説く。そのためにGoogle検索はもちろん、Gメール、GoogleカレンダーMobileMeなどの検索機能を駆使する。流行のクラウドのほか、紙(ノート、ポストイット)とデジタルの使い分け術にも言及している。評者も情報整理好きだが、難しいのは運用やメンテナンス。長続きせず、使わなくなった情報整理関連のソフトや小道具がそこらじゅうに転がっている。この問題を解決するヒントも欲しかったところだ。