The Innovation Secrets of Steve Jobs: Insanely Different Principles for Breakthrough Success、Carmine Gallo、McGraw-Hil、p.256、$25


 米Appleを中心にイノベーションを生む秘訣を説いた書。イノベーションとは何か、イノベータとは何かを解き明かす。優れたリーダー論になっているが、タイトルのSteve Jobsは売るためのテクニックと考えた方がよい。Jobs本、Apple本、イノベーション本としては、この書評で取り上げた「The Myths of Innovation」「Juice:The Creative Fuel That Drives World-Class Inventors」「スティーブ・ジョブズ〜偶像復活〜」「Apple」に一歩譲る。確かにJobsの逸話を事例として引いているが、どこかで聞いたり読んだりした話題が散りばめられている感じだ。
 ちなみにJobsの生き様を端的に表しているのが、本書でも繰り返し取り上げる米スタンフォード大学の卒業式でのスピーチ。情熱の大切さを説き、「現状に満足するな、妥協するな」など警句に満ちている。Webに日本語訳もあるので、本書と併せて読むことをお薦めする。
 Jobs以外にも本書では、ジェームズ・ダイソンやハワード・シュワルツ、サージェイ・ブリン、ラリー・ページなど多くのイノベータを取り上げ、「ビジョンを具体的に語ること」「ビジョンをシンプルに語ること」「終始一貫すること」「多様性」の大切さを説く。英語は徹底的に平易なので、正月休みに読むのは悪くない。