数学的思考の技術〜不確実な世界を見通すヒント〜、小島寛之、ベスト新書、p.256、\840


 東大数学科出身の経済学者が書いた思考術。世の中の事象を抽象化してとらえる秘訣(思考法)を書いているのかと想像して購入したが、ちょっと違った。主に、経済学で数学はどのように活用されているかを数式を用いずに説いている。新書らしく「給料が上がらない理由」「デフレ不況への処方箋」「村上春樹の小説と数学的思考」といった身近な話題を取り上げ読者の関心を引こという努力は買える。もっとも、評者には得るものが少なかった1冊である。