虚妄の帝国の終焉〜ネット革命の旗手,AOLの栄光と挫折,アレック・クライン,清川幸美,服部千佳子,ディスカヴァー,p.371,\1800

 ワシントン・ポスト紙の記者によるノンフィクション。いまや懐かしさを感じる名前になっている米AOLの設立から興隆,米Time Warnerを買収した絶頂期,そして凋落を丹念に追っている。内容自体にあまり驚きはないが,歴史を振る返る意味で貴重な書である。この手の買収劇で必ず出てくる「シナジー」という言葉がいかに空疎かよく分かる内容になっている。
 帯にあるアメリカ版「ホリエモンの失敗劇」というのは時間の流れを考えると変だが,インターネットの新興勢力が伝統企業を呑み込むという構図はよく似ている(もちろんライブドアは未遂)。このほか買収劇だけではなく,決算の「粉飾」も規模こそ大きく違うが類似しているのも事実である。