ん〜日本語最後の謎に挑む〜、山口 謠司、新潮新書、p.190、\714

minami_chaka2010-03-07

 日本語の「ん」は不思議な存在である。五十音表ではオマケ扱いだし、母音でもなく子音でもない。単体では意味をなさないが、「ん」がない日本語なんて考えられないし、シリトリが成り立たなくなってしまう。偉大なバイプレーヤーとしての独特の存在感がある「ん」だが、その誕生の経緯、仏教普及との関係、「ん」研究の歴史を解き明かした書。日本語に興味のある方にお奨めの書である。ただし、かなりアカデミックに書かれているので途中で退屈してしまう危険があるので要注意。
 そもそも「ん」上代には存在しなかった。平安初期には「ん」を「い」で表していた。そのため本来なら「けんぐ」と発音されるべき「経」という漢字の読みが、「けい」と書かれた。これが今の「経=けい」につながった。日本語の奥が深いことを改めて感じさせられる逸話である。日本語はおもしろい。