シゴトの渋滞、解消します!〜結果がついてくる絶対法則〜、西成活裕、朝日新聞出版、p.276、\1470

minami_chaka2010-03-23

 この書評でも取り上げた「渋滞学」で一躍脚光を浴びた西成活裕 東大教授のビジネス書。渋滞学の考え方をビジネスに応用するのが本書の狙い。個人や部署、会社で生じる渋滞を解消し、仕事の効率を高めることができると説く。全般に盛り上がりに欠ける内容で読後感はよくない。特に後半部は自らの研究者人生をひたすら語っており退屈である。学術的な功績はともかく、この調子だと著作の面では「渋滞学」の一発屋で終わってしまいかねない。
 本書の前半部では、東大でのムダ取り活動など具体的事例を挙げてビジネス効率化の手法を紹介する。個人の仕事を効率的に進めるには「スケジュールをぎっしり詰めない(車間距離を十分あける)」「仕事の単位は2時間」「些細な一歩でいいいので仕事を進める」など、それなりに納得できる部分が多い。しかし、部内の渋滞解消、社内の渋滞解消の部分になると疑問符がいくつもついてしまう。