電子図書館、長尾真、岩波書店、p.144、¥1575

minami_chaka2010-05-03

 国立国会図書館長の筆者が、京都大学教授時代の1994年に上梓した書の新装版。筆者は現在、電子図書館構想を推進しているが、その原点を知る上で役に立つ。実は前書きと後書きに手を加えただけで、中身は16年前とほぼ同じ。したがって現在のインターネットや情報技術の状況をみると、かなり古さを感じる内容である。この16年の技術進歩がいかに凄かったかを改めて認識させられる。
 本書で紹介されている当時の技術は古いものの、予測はよく的中している。技術進歩の早さを考えると、筆者の技術を見る目の確かさが分かる。本書で新たに付け加えた前書きも悪くない。短いものの、電子図書館が置かれた状況と問題点を手際よくまとめている。ビジネスモデルの在るべき姿まで言及しているところが旧版との大きな違いとなっている。