大切な人をどう看取るのか〜終末期医療とグリーフケア〜、信濃毎日新聞社文化部、岩波書店、p.192、\1995


 誰もがいつかは向き合わなければならない、自らの死や身内の死。重い話題を取り上げた信濃毎日新聞の連載記事に、読者からの投書を織り交ぜて単行本化したもの。示唆に富む指摘が多い良書である。一読を薦めする。
 本書が扱う話題は多岐にわたる。認知症と死の選択、生活の質にかかわる気管切開をめぐる葛藤、胃ろうをはじめとする延命策の問題、末期がんと緩和ケア、在宅死、グリーフケア(死化粧や葬儀)など、興味深い話題が並ぶ。これらについて患者や家族、医療・介護関係者に丹念に取材し、課題と今後の方向性を明らかにする。医療関係における信濃毎日新聞の取材力には定評があるが、本書でもその実力をいかんなく発揮している。