単身急増社会の衝撃、藤森克彦、日本経済新聞、p.384、¥2310


 容易ならざる事態が日本社会で進行している。20年後の2030年、生涯未婚率は男性で29%、女性で23%。50代・60代の4人に一人が一人暮らしになる。こうした単身世帯が今後急増する結果、社会的孤立や貧困、介護難民、孤独死が社会問題化する。劣化著しい政治状況を考えると、年金問題も含め日本の将来は暗い、そんな気にさせられる書である。
 NHKが単身者の孤独死をシリーズで取り上げ話題をよんだが、本書は豊富な統計データで単身(特に生涯未婚)急増社会の問題点を浮き彫りにする。単身世帯の現状と将来展望にはじまり、日本社会へのインパクト、英国や北欧の状況を論じた後、処方箋を描く。何とも重い内容で読み終えて暗澹たる気持ちになるが、将来に禍根を残さないためにも多くの方に読んでほしい1冊である。