リスクに背を向ける日本人、山岸俊男、メアリー・C・ブリントン、講談社現代新書、p.272、¥798


 『安心社会から信頼社会へ』『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』などの著書で知られる社会心理学者の山岸俊男が、旧知のハーバード大学教授と行った対談をまとめた書。アメリカ社会よりも日本社会の方がリスクが高い、リスクを避ける傾向は日本人が先進国のなかでずば抜けて高い、など日本社会が抱える問題について議論を繰り広げている。全体に読み応えのある書に仕上がっている。
 労働市場、女性雇用、出生率、教育、コミュニケーション能力など両者の議論は多岐にわたる。とりわけ労働市場についての指摘や、日米における信頼感の違いについての議論は示唆に富む。対談だけに冗長な部分も散見されるが、議論がす〜っと腑に落ちるところがいい。