Inside Apple〜From Steve Jobs down to the janitor: How America's most successful - and most secretive - big company really works〜[Kindle Edition]、Adam Lashinsky、Fortune、505Kバイト、$2.99


 購入したKindle端末を使って、初めて読んだ電子書籍Amazonの販売では「電子書籍>紙の書籍」になった今としては、遅ればせながらのKindle体験である。パソコン、iPhoneKindleと端末を渡り歩きながら読み終えた。意外にスムーズに読めたのは驚きだった。食わず嫌いだったと少々反省した。時間がちょっと空いたときに、iPhoneで読み進むことができるのは評者のような本好きには嬉しい。ちなみに本書はKindle版だけで、紙のバージョンは存在しない。ページ数ではなく、505Kバイトとメモリ容量で分量を表すのは電子書籍らしい。
 本書は雑誌Fortuneの記事を電子書籍化した、コンパクトにまとまったApple論である。大企業となったAppleベンチャーのような急成長を続けられるのは何故か、次から次へとヒット商品を生み出す秘訣はどこにあるのか、Appleの意思決定はどのようになされるのか、ポストJobsのAppleはどうなるのか、といった疑問に雑誌的な視点とエピソードを交え答えている。当然のことだが、Jobsに関する記述は多い。ただし、本人へのインタビューは掲載されていない。
 分量が少なく物足りなさも感じるが、雑誌記事がベースということを考えると致し方ない面がある。退職したエグゼクティブのコメントを多く載せており、Appleの内実を垣間みることができるのが本書の楽しみの一つである。トップ100ミーティングという幹部を養成する仕組みの存在は興味深い。Appleという企業に興味ある方に向くし、英語が平易なのでKindle初心者にもお薦めである。